06|ガラスの歴史3 クリスタルグラスの誕生
17世紀の終わりごろ、イギリスのラベンスクロフトが鉛を硝子原料に入れた、鉛クリスタルグラスの開発に成功しました。ソーダ灰の代わりに酸化鉛を入れて化学変化をさせて、鉛を無害にした。クリスタルガラスはほぼ無色透明で、美しい輝きを持ったグラスです。
これにより、イギリスのグラス製造技術が注目を浴び、18世紀の終わりには、ウォーターフォードクリスタルなどがクリスタルグラスを製造し、当時のイギリス国王ジョージ3世からも注文を受け、貴族社会で特別な地位の象徴「テータスシンボル」して使われました。
また、同じ17世紀にはボヘミア地方で算出される木灰を原料に入れた、カリクリスタルの製造がはじまりました。カリクリスタルは、水晶にも匹敵する硬度と透明度です、そのため宝石彫刻に用いられる技術を使った繊細な装飾も可能になります。グラスを製造して冷やしてから装飾を施す、コールドワークという技法、とくにグラスを削って装飾するエングレービング(回転する彫刻機を使いガラスを削るカット技術)(江戸切子と同じような技法)を使い、繊細で芸術的な装飾を施したグラスがたくさん生み出され、のちにチェコの国営企業として世界各国に大量にボヘミアクリスタルとして輸出されていくことになります。
フランスでもクリスタルの製造が盛んになり、優秀な品質と技術により高く評価され、ドーム、サンルイ、ラリックなどの有名メーカーが多く生み出されました。
皆さん良くご存じのバカラは、1764年 フランス王ルイ15世により、ロレーヌ地方のバカラ村にガラス工場設立が許可される。1816年にクリスタルグラスの製造を始めた、グラスの製造とカット技術、金彩などの装飾技術がしっかり継承され現代にいたる。1841年には、現在まで続く「アルクール」シリーズが誕生する。 1896年 ロシア皇帝ニコライ2世から特別注文を受けて、ウォッカ用グラスを含む豪華なグラスセットを納入する。
現在はバカラ村ではフランスの技術者の最高峰M.O.F.(フランス最優秀職人章)を持つ職人たちと製造を行っている他、フランス以外でも製造されています。
作成 木本硝子株式会社 KIMOTO GLASS TOKYO 木本誠一
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